■ゲーム概要 |
1992年11月に海外でアーケード稼動し、1996年にはSega
Genesisで発売された2D対戦型格闘ゲーム。開発は日本でも有名な「Incredible
Technologies」社、販売は「Strata」社。アーケード基板には「Incredible
Technologies 32bit」を採用しており、続編「Blood
Storm」の前身となるタイトル。
中世の騎士、宇宙ヒーロー、サムライ、原始人といった、時代も国も全く異なるキャラクター達がそれぞれの武器を持って激突する。5つのボタンが、それぞれ両腕、両足、頭を操作する。戦闘中に腕や首が飛ぶなど残虐表現が凄まじく、海外でも問題となった。
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■ゲームシステム |
操作はレバー8方向+「バックアーム(BackArm)」、「ウェポンアーム(WeaponArm)」、「バックレッグ(Backleg)」、「ウェポンレッグ(WeaponLeg)」、「頭突き(Head)」の5ボタン式。基本操作は以下を参照。
ウェポンアーム、バックアームと書くと判り難いが、要するに「武器を持った腕」、「何も持っていない腕(素手)」という具合になっている。足に関しても、右足、左足をそれぞれのボタンで使い分ける。鉄拳より早く「右腕」、「左腕」、「右足」、「左足」にそれぞれボタンを振り分けたシステムを採用。そのまま「Blood
Storm」の基礎ともなっている。
▼腕切断
武器攻撃がヒットすると、当たり方によって腕が切断される事がある。切断された腕は、当然ボタンを押しても攻撃を出す事が出来ない。武器のない手(バックアーム)を切断された場合に、バックアームボタンを押すと、自動的にウェポンアームの攻撃が出る。両腕が切断されると、当然腕による攻撃は出来ない。しかし足や頭を使っての攻撃を繰り出す事は出来る。
▼首切断
武器攻撃(Death Move)がヒットすると、当たり方によって首が切断される事がある。この場合、どれだけ体力に残量があってもその場で勝負が終わってしまう。
▼気絶 (スタン)
頭部に攻撃を受けると気絶状態となることがある。この間は完全に無防備となってしまうほか、後述のスーパーデスムーブを受けるリスクが発生する。アーム系ボタンとHボタンを連打することで、気絶からの回復速度を速めることが出来る。
▼スーパーデスムーブ (Super Death Move)
気絶(スタン)中の相手に接近して、攻撃ボタン5つ全てを同時押しすることで発動。相手を切り刻んで、首・両腕を切り落とす。当然、勝敗は決する。気絶が即死に繋がるシステムとなっている。
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■私的レビュー/プレイ時間:短時間 |
海外で発売された残虐表現要素の強い2D武器格闘ゲームで、「Blood
Storm」の前身となるタイトル。製作を手掛けたのは「ストリートファイター ザ・ムービー」を開発したIncredible Technologies社ということで、日本でもそこそこの知名度を誇るタイトルです。ただしゲーム完成度は微妙と言わざるを得ない内容です。
まずグラフィックですが、これが実に残念な完成度。キャラクターのモデリングから既に破綻しており、腕や足の長さ・太さの比率がおかしな事に。更にグラフィックの質が荒く、動きもぎこちないです。武器を振るうにしては、まったく力の入っていないようなモーション多数で、動きがどう見ても不自然です。
ゲームシステムは恐ろしく大雑把で、緻密な駆け引きを好むユーザーにはお勧め出来ません(逆に洋ゲーのスタンスが好きな方には好物かもしれませんが)。レバー8方向に加え、ボタンが5つ「右腕」、「左腕」、「右足」、「左足」、「頭」にぞれぞれ対応。頭…という選択肢が存在するのは、武器攻撃がヒットする事で、腕が飛んでしまうこのゲームならではでしょう。両腕が切り取られた状態になってしまうと、上半身を使っての攻撃は頭を使うしかない…というところでしょうか。
武器を使用した2D対戦型格闘ゲームのため、基本的にはリーチの長い武器を使用しての刺し合いになります。間合いの取り方、武器攻撃を出すタイミングが非常に重要となります。武器攻撃が当たると相手の腕を斬り飛ばす事があり、特に武器を持っている側の腕を切り落とされると、対戦のバランスは大きく崩れます。続編の「Blood
Storm」と異なり、足を切り落とされる事は無いので(傷が付く演出はある)、足や頭突きによる攻撃は継続可能。足による攻撃はスライディング系やドロップキックなどの奇襲技も多く、キャラクターによっては武器での差し合いよりも、思い切って足による奇襲に徹してしまった方が、棚から牡丹餅的に勝てることも有ります。
ゲーム全体のセンスが非常に独特で、どう好意的に解釈しても悪趣味としか思えない演出多数。両腕、首切断、血飛沫といった残虐演出もそうなのですが、各キャラクターのステージ背景も悪趣味なものばかり。原始人「Thugg」のステージでは、狩られて死んだ恐竜が鮮血を延々と垂らしていたり、中世の騎士「Lord
Wulf」のステージでは兵士がバタバタと死んでいる戦場が背景。極めつけはサムライの「Musashi」ステージで、何故かさらし首が多数陳列されている日本風城内。明らかに間違った日本観とかそういうモノよりも先に、常に付き纏う死の香りが何とも不思議な雰囲気を作り出しています。
残虐、残酷といった単語を繰り返し使ってしまいましたが、実際に遊んでみると思ったよりコミカルです。確かに切断表現や血飛沫は凄く、切り落とされた部位がしばらくピクピクと動いているなど、変なリアリティがあったりもしますが、ラウンドが変わる次の瞬間には、二人とも五体満足、平然として出てきますし、首を切り落とされて勝敗がついても、コンティニューをした瞬間に切断部も復活します。正直なところ、低年齢層のゲーマーには遊んで欲しくないタイトルでは有りますが、ブラックユーモア好き、シュールな世界観が好きな方にはお勧め出来る作品だと思います。
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■余談 |
両腕、首の切断、飛び散る鮮血など、その過激な残虐表現が大きな問題となった本作。アーケード版リリース後、直ぐにコンシューマ版の発売を検討していたが、その残酷描写が問題になり過ぎた為、移植作業を進める事が出来なかった。その為アーケード版が1992年に稼動したにも関わらず、コンシューマの「Sega
Genesis セガジェネシス(海外版メガドライブ)」版の発売は1996年となってしまった。移植に時間の掛かり過ぎたジェネシス版はユーザーの関心も薄く、販売本数は振るわず、結果的に市場出回り数が少ないレアソフトとなった。現在の中古市場では比較的高価で取引されている。
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■基本操作 |
行動 |
操作 |
行動 |
操作 |
バックアーム |
BAボタン |
特殊防御 |
BA+BL同時押し |
ウェポンアーム |
WAボタン |
小ジャンプ |
レバーを一瞬だけ要素に入力 |
バックレッグ |
BLボタン |
スタンから回復 |
アーム系ボタンとHボタンを連打 |
ウェポンレッグ |
WLボタン |
デスムーブ |
ボタン5個全部同時押し |
頭突き |
Hボタン |
挑発 |
レバー+Hボタン |
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■登場キャラクター |
キャラ名 |
設定 |
キャラ名 |
設定 |
キャラ名 |
設定 |
Rancid |
不良 |
Lord Wulf |
中世の騎士 |
Mantazz |
ミュータント |
Orion |
宇宙ヒーロー |
Leif |
バイキング |
Matrix |
女兵士 |
Thugg |
原始人 |
Musashi |
サムライ |
Death |
最後のボス |
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■関連書籍1 |
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■関連書籍2 |
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