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■電装天使ヴァルフォース 開発者インタビュー
電装天使ヴァルフォース
電装天使ヴァルフォース
対戦型3Dアクションシューティング
オリジナル同人ソフト
開発 夢ソフト
発行 2009年12月30日
機種 Windows
著作 (C) yumesoft

■開発者・インタビュアー紹介
インタビューイ
夢ソフト 開発者代表:神岡 様
大きな話題を呼んでいる同人ゲーム「電装天使ヴァルフォース」開発者の一人。主に企画、メインプログラム、サークル運営を担当している。
インタビュアー
格闘ゲーム総合サイトFFL総責任者:瑞瀬 了
基本的には2D対戦格闘大好きプレイヤーだが、実は3Dアクションシューティングも大好物。電装天使ヴァルフォースに惹かれてインタビューを敢行。

電装天使ヴァルフォースとは?

FFLによる、電装天使ヴァルフォースのレビュー FFLによる、電装天使ヴァルフォースのレビュー

 同人サークル「夢ソフト」がリリースした同人ソフトで、ジャンルは対戦型3Dアクションシューティング。「無敵兵装ヴァルキリー」を身に纏った少女達が、代理決闘制度「ヴァルフォース」に挑む一対一の対戦アクションゲーム。
 クオリティの高いキャラクターモデリング、美麗なグラフィック、迫力のエフェクト、安定した操作性を実現。インターネット回線を利用した対戦機能を搭載し、通信関連のオプションも充実している。武器性能の調整、キャラクターバランスも良く仕上がっており、有志が用意したサーバを介した通信対戦も好評。

大会動画などはこちらを参照


■インタビュー開始
この度はFFLのインタビュー企画にご協力頂けまして誠に有難う御座います。
色々とお忙しい中、お時間を取って頂けて幸いです。
いえいえ、こちらこそ。
インタビュー企画が私に来たこと自体光栄です。
よろしくお願いします。
それではまず、このゲームのコンセプト・基本方針を教えてください。
操作は簡単に。戦術はいくらでも自由にがコンセプトですね。
必殺技コマンドや連続コンボといった複雑な操作を、必要としないゲームにしようと決めていました。
最近のコンボ長時間複雑化が苦手な方にお勧めしたいですね。
確かに複雑なコマンドや操作が一切ありませんよね。
ボタンとレバーの組み合わせで、色々な操作が出来るようになっていたので、私もすぐに馴染めました。ボタンの配置も自由に出来ますし、ボタンの位置を体感で覚えられれば、思うようにキャラクターを動かせました。
ただでさえ3Dは苦手という人が少なくないですから、何とか入口を大きくしようと苦労しました。
対戦型3DアクションSTGの面白さを知る前に、操作が難しくて手が出せないというのは寂しいですからね。
確かに仰る通りです。そこのところを上手くクリアされているのは素晴らしいですね。

それでは次に、このゲームのここを見て欲しい!というところはありますか?
バランス調整には時間をかけまくりましたので「対戦ツール」としての完成度を見てもらえたらなぁと思います。
それを支えるネットワークゲームセンターシステムも。
…ただ、こういう「プレイしないと分からない要素」は販売の際にまったく武器にならないのは誤算でしたね。
はい、私も遊んでみて驚きましたが、痒い所に手が届くシステムですよね。
乱入を待ったり、目当てのプレイヤーの対戦待ちが出来たり、対戦が始まるまではCPU戦で時間を潰せたり。まさにゲーセン感覚。
こういうところって、気付きそうで気付きにくいところなのですよね。
あともう1つのウリ、観戦機能ですね。
ゲーセンでの楽しみの1つに、強い人を「見かけて」それに対して「乱入してみよう」だと思うんですよ。
なので観戦は必須だと思いつけてみました。
強い人の動きをみれば、真似してみたくなりますしね。
なるほど。
逆にプレイヤーは自分のプレイを見て貰える機会が作られる事にもなりますよね。
ゲームセンター感覚で遊べるシステムが大好評!
ゲームセンター感覚で遊べるシステムが大好評!
ではよろしければ、ヴァルフォースの構想期間や開発期間を教えてください。
構想10年以上、開発2年でしょうか。
もう少ししたら続編が出る…。そう思いながら10年以上。
ゲーセンからはどんどん消えていくし…。
もういいや、私が作ろうと。
構想10年は凄いですね…。
考えてみると、あの時代から10年以上の月日が経過しているのにも驚きますが…。
我々も歳をとるわけですよ(笑)。
まったくです(笑)。

それではゲームの開発中にあった面白いエピソード等があれば教えて下さい。
バランス調整中に、ある攻撃に使い道が無いと満場一致しまして。
それならと射出までの時間を18フレームから16フレームに短くしたのです(1フレームは1/60秒)。
そうしたらヤバい、強すぎると。この攻撃連発してるだけで勝てるよとなりまして…(笑)。
たった2フレームでそこまで差が出るのは笑えましたね。こりゃ大変だと。

今度からは、ストIVサガット強すぎ修正してとか気軽に言えませんね。
うわぁ…。
格闘ゲーム、対戦アクションのバランスを取るのが、如何に難しいかというのが良く判るエピソードですね。
大変な割に、売上に直接関わらないので真っ先に削られる部分ですよね。同人は納得いくまで作り込めたので、その点は良かったなと思います。
見た目は商業に絶対負けちゃいますからね。そういう点では同人ゲームこそこだわりたいし、他の作り手さんにもこだわっていただきたいです。
作り込まれた成果はキチンと現れていましたね。

それではゲームの開発に際し、大変だったところ、苦労したところがあれば教えて下さい。
宣伝が死ぬほど大変でした。
ゲームは順調にできつつある。体験版も配った。
でもまったく反応が無い。
宣伝をする方法も分からない。

世の中、製作費を削ってでも宣伝にお金をかける理由が良く分かりました。
プログラムが自分の思い通りの結果を出せるのとは対照的です。
次回は宣伝担当スタッフが欲しいです(苦笑)。
仰る通り同人ゲームというのは、そのクオリティに対して宣伝場所が少ないという印象はありますね。
でも、秋葉原の同人ショップで流れていたヴァルフォースの店頭デモには、結構な見物人が集まっていましたよ(笑)。
ヴァルフォースのような良質のゲームは少しずつでも広まって行ってくれると個人的にも嬉しいのですが。
ありがたいお話です。
店頭デモが無かったらと思うと冷や汗がでますね。
お店のデモ画面も数が限られますから、とても運が良かったのかな?と思います。
同人ショップ側も、デモを実施して伸びるゲームと判断した…という部分があったのだと思います。

ではユーザーからのご意見などで嬉しかった事、参考になった事など面白い話しがあれば教えて下さい。
ちょっとした応援でも、喜びの声でも何でも嬉しかったですね。
ネガティブな声でも「少なくとも手にとってプレイしてくれたんだ」と前向きにとれましたしね。
通常のコントローラーは勿論、ツインスティックにも対応した仕様
通常のコントローラーは勿論、ツインスティックにも対応した仕様
面白かったご意見としては「ツインスティックで操作したいんですが」でした。
当時はまだXBOX360版ツインスティックなんて噂すら無かったので、いまさらPCにつながるツインスティックを何故持ってるんですか?って思いました(笑)。

…使えるようにプログラムで対応させていただきました。
ツインスティックでの操作は、元々ユーザーさんから寄せられたご要望だったのですね。
それを実装してしまう、夢ソフトさんも豪儀だと思いますが(笑)。
実装したものの手元にツインスティックがありませんからね。
ユーザーさんからの投稿をもとに、かなり試行錯誤して調整しました。
新宿までツインスティック触りに行ったりとかも…。
なるほど、大変だったのですね…。

ちなみにゲームで使用可能キャラクターのうち、誰が一番お気に入りだったりしますか?
全員と言いたくて仕方ないですが、強いて挙げれば「春風レン」ですね。
容姿や性格が完全に自分の趣味を出しているので。

ユーザー様主催の大会で、初優勝がレンだったのは意外でした。潜在能力は高いですが、使いこなされるのはまだまだ先だと思っていたので。
レンちゃんは明るい雰囲気が私も好きです。
機械兵装を纏っているのに、魔法使いのようなデザインになっているギャップも良いですね!
個人的には「斑鳩セツナ」が一番お気に入りです。巫女好きというのもありますが、何より勝利ポーズとか格好良くて(笑)。
ユーザーさんの反応を見ても、全キャラそれぞれ愛されているようで嬉しいです。
Pixivを見たらイラストを描いてくださっている方もいらっしゃいまして。
作者冥利に尽きるというものです。
…いや、本当に転げまわるほど嬉しいですね。
まさにオリジナルキャラクターならではの喜びですね。
開発者もイチオシの春風レン。他にも魅力的なキャラクターがいっぱい!
開発者もイチオシの春風レン。他にも魅力的なキャラクターがいっぱい!
…では少し気が早いのですが、将来的に続編やアペンドディスクを作成する予定はありますか?
せっかくノウハウも貯まりましたしね。
ただ、ヴァルフォースが発表から発売までが長すぎたので、発表はもう少し作業が進んでからとしたいと思います。
ヴァルフォース自体もまだまだVerUPパッチなどを出したいですしね。
なるほど、しばらくはバージョンアップを続けられるのですね。
ユーザーさんもきっと楽しみにしていると思います。
「私が対戦したいから作った」側面が強いですからね(笑)。
長く対戦が行われ続けるための努力はします。
発売前からやり込んでいる手前、ちょっと公開サーバーで戦うのは遠慮しているので、長く続けていただいて追いついていただけると遠慮しなくて済むなと(笑)。
ちなみにこのヴァルフォースは何名ぐらいの方で作成されていたのですか?
サークル構成員は2名です。私=神岡と、空我ですね。
音楽、効果音を外注で担当していただいた方が2名。
他にもバランス調整を手伝ってくれたり、HPを見栄え良くしてくれたりといった方が若干名。

スタッフロールが短すぎて困ったので工夫してみました。
事実上、主要な部分をお二方で作成されているとなると本当に凄いです。
やはりゲームへの想いはかなりのものがあるのでしょうね。
空我は本当に芸術家肌で、神凪アイのモデルは何回修正されたかなぁ…。
「残りのキャラを先に作って!」「だが断る!」みたいな。
私もバランスやら、プレイしてのレスポンスの気持ちよさとかには時間注ぎまくりましたね。
でもまぁ、そのくらいこだわりを持っていないと、制作終了までやる気が存続できない気もします(笑)。
確かに仰る通りかもしれませんね。
でもその職人的な気質はゲーム中にもしっかり反映されていたと思います。
ゲームの随所にこだわりが感じられる高い完成度
ゲームの随所にこだわりが感じられる高い完成度
それではちょっと変わった質問となりますが…。ヴァルフォースもそうですが、最近の同人ゲームの質は凄いですよね。開発に掛かる労力も高いと思いますが、10数年来同人ソフトの頒布価格は大きく変わっていないと思われます。
実際サークルさんとしてはどうでしょうか?
同人ゲームで、アルバイトを超える収入を得るのは無理だと思います(苦笑)。
儲かるものではないです。

渡辺製作所さん、黄昏フロンティアさんのような「同人ゲームをやってるなら、もちろん買ってるよね」というレジェンドサークルがあるじゃないですか。あのくらいにならないと、儲かるってレベルにはならないかなと。
ふむふむ…。
あとは人気ジャンルの二次創作にすれば…。どうなのでしょうね?
「あのキャラで作られていればプレイしたのに」というご投稿は結構もらいましたね。

儲かるのは別として「売れて」は欲しいですね。切に。
売れた数だけの人が、自分のゲームを「買ってでもプレイしたい」と思ってくださったということですから。これほど嬉しいことはないです。
これはゲームを紹介している立場からもそう思います。
同人ゲームは完成度が高くても、その知名度で埋もれてしまう事がありますからね…。
漫画やアニメの二次創作だと、まだ「そのファンが集まっている場所」があるからいけるんだろうなと思いますね。
オリジナルキャラのゲームは年々減り続けているそうですけど、そういう背景もあるのかなと。
…なるほど。それでは同人ゲーム界の全体の現状で、何か感じておられる事があれば教えて頂けますでしょうか?
大手情報サイトの不在ですね。
昔あった「同人ゲームを探すならここ!」というサイトが存在しないことです。
それなので新サークルはまず知ってもらうことができないのですよね。
だからといってユーザーさんに「もっと一生懸命サークルを探してください」とは言えないでしょう?

なのでもしよかったら、同人ゲーム好きなユーザーさん。
TwitterとかMixiとかブログとかで気に入った作品の話題を出してあげてください。
なるほど、そうした現状もあるのですね。
私も自分が気に入ったゲームは、ユーザーがどんどん発信していくことが、結果的にゲーム界を盛り立てる事になると思います。
格闘ゲームではないですけど「橙汁」さんの「スグリ」というゲームが本当に素晴らしかったんですよ。
なので友人に薦めてまわりました。これが埋もれるなんていけないと。
多分スグリはもはや有名なんでしょうけど、きっとまだまだああいう素晴らしい同人ゲームが埋もれていると思います。
スグリは私は知りませんでした(汗)。
体験版もあるようなので、私も今度遊んでみたいと思います。

では当サイトは格闘ゲームサイトなので、こんな質問もさせて下さい。
神岡様のお好きな格闘ゲームはありますか?
あ、はい。電装天使ヴァルフォースというゲームですね。
対戦型3DアクションSTGをPC上でネット対戦しまくるのが夢だったもので。
ハハハ(笑)。
それは勿論ですが、他には何かありますか(笑)?
他にですか。
青春時代を捧げたゲームはあるのですが、流石にもうゲーセンに置いてないんですよね。新宿とか行かないと…。
現在だとストリートファイターIVですかね。久々に地に足をつけた戦い方をする格闘ゲームが出てくれて助かりました。
ただ、サガットが強すぎるので修正して欲しいですね!
(…ツッコミ待ちかな?)

確かにそうですね(笑)。ちなみにそれ以外にも、ゲームは結構遊ばれるのですか?
最近のTVゲームとかはプレイ時間が長すぎて手が出せませんね。

なので、ちょうどいいボリュームのPC同人ゲームが好きです。
黄昏フロンティアさんの「ひぐらしデイブレイク」
さきほども紹介しましたが橙汁さんの「スグリ」
上海アリス幻樂団さんの「東方シリーズ」とかはかなり熱心にプレイしました。

ヴァルフォース制作中ということもあり少し控えていたのですが、これからは同人格闘ゲームにも少し手を出してみたいですね。
では最後に閲覧者様に何かメッセージがあればお願い致します。
「是非『電装天使ヴァルフォース』をプレイしてみてください」に決まっています!

ある個人2人が、2年の歳月をつぎ込んで作ったものを10分触ってみようか。というレベルで構いません。体験版が出ており、公開サーバーなどで製品版ユーザーとも対戦ができます。対戦人口もちょこちょこ増えているようですし。

きっとFFL様のサイトを覗きに来るようなユーザーさんは、対戦ゲームが大好きだと思うんですよ。
PCで・気軽に・ゲーセン感覚で通信対戦できるという点にこだわって作ったので、是非味わってみてください。
メッセージ有難う御座いました。
大会動画はニコニコ動画等にもアップされていますので、皆様そちらも是非ご覧になってみて下さい。
あ、すいません。最後になりますが、ブログで「同人ゲームを作るためのノウハウ」を公開し始めました。ソースコードつきで色々公開していますので、同人ゲームをこれから作ろうと思っていらっしゃる方は是非遊びにきてください。
夢ソフトのHPからいけますので
FFLの代表としても「電装天使ヴァルフォース」は本当にお奨め出来るタイトルです。

公式サイトから体験版がダウンロード出来るようになっていますし、DLsite.comさん、メロンブックス.comさん、とらのあなダウンロードストアさんでのダウンロード販売も行われています。

パッケージとソフトが欲しい方は、同人ショップのメッセサンオーさん、メロンブックスさん、とらのあなさん店頭でも取り扱われていますので、是非お手に取ってみてください。

本日は長らくインタビューにお付き合い頂き有難う御座いました。
有難う御座いました。



(C) yumesoft



■編集後記■
 同人ゲーム「電装天使ヴァルフォース」の完成度の高さに感動して、早速インタビューを申し込むという無謀な行動を起こしてしまった訳ですが。それにご丁寧に対応して下さった、夢ソフト・神岡様に深く感謝しております。やはり「自分でも遊びたいから」という、もっとも純粋な動機によって生み出された作品は素晴らしいものに仕上がるのだと思いました。
 特にゲームバランス調整や、ゲームセンターのシステムに準じた通信対戦機能など、表面的には判らない部分を、こだわりを持って作り込まれているところは、まさに職人魂を感じました。皆様も是非お手にとってプレイしてみて下さい。




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