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Tokyo Game Night-闘宴決義 運営者インタビュー



 「Tokyo Game Night-闘宴決義」とは、大規模なオフラインLANパーティーイベントの対戦格闘ゲーム部門。「デッド・オア・アライブ4」と「ソウルキャリバー4」の二タイトルを柱に、大会・対戦会を実施。先日開催されたVol.5では「サムライスピリッツ閃」、「鉄拳6」、「ソウルキャリバーBrokenDestiny」といったタイトルも用意され、同会場で盛り上がった。
 基本的には土日祝日の夕刻に集まり、その次の日の朝までゲームを遊び尽くすオールのイベント。夕刻から夜半までは、対戦会・大会のイベントを実施し、夜中になるとゲームをしながら、お酒を飲みながら、語り合いながら朝まで過ごす。毎回3桁程の大人数が集まる。

Tokyo Game Night-闘宴決義運営へ突撃インタビュー

■インタビュー前に
◇インタビュー先 Tokyo Game Night-闘宴決義
代表:餅A 氏
バーチャファイター3から格闘ゲームを始め、バーチャファイターシリーズやDOAシリーズで攻略ライターや大会の実績を積む。何が起こったかよくわからないが気付いたらイベントの代表だった。
Tokyo Game Night-闘宴決義
運営:ぬた 氏
ソウルキャリバー古参プレイヤー。ここ10年オフ会や飲み会の幹事などを主に担当。キャリバーオンリーイベント剣魂一擲も主催した。イベントでは主にパンフレットのデザインを担当。ゲームの腕前は中の中。ふつう。
Tokyo Game Night-闘宴決義
運営:そうすひ 氏
ソウルキャリバープレイヤー。イベントでは主に配信担当としてビューアーとIRCでキャッキャウフフしている。SC3AEで闘劇'07本戦出場経験あり。
Tokyo Game Night-闘宴決義
運営:おおさか 氏
ソウルシリーズはドリームキャスト版以来10年間継続してプレー中。SC3AEではアルカディア闘劇魂にて攻略記事を連載。現在は闘宴決義の司会進行および実況役を担当。
◇インタビュアー
格闘ゲーム総合サイトFFL
総責任者:瑞瀬 了

■いざインタビュー!
このたびは、インタビュー企画が実現致しまして感謝しております。
ご協力頂けまして、誠に有難う御座います。
こちらこそ、よろしくお願いします。本日はTokyo Game Night(TGN)がどういうイベントなのかを皆様にご理解を頂き、よりご興味を持って頂ければと思います。

それではまず、発起人はどういう気持ちでこの「Tokyo Game Night(以下、TGN)」を立ち上げられたのでしょうか?
最初のTGNはPCゲームだけの集まりでした。全員でパソコンを持ち寄ってFPSをオフラインでやりましょう、というのがキッカケですね。
格闘ゲームとは違って国内のFPSは、オンラインメインのコミュニティしかなかったので、彼らがオフでやってみたいよね、というところから始まったのです。
オンラインに力を入れているタイトルのコミュニティだと、どうしてもラグが影響して、結果に差が出てくる。そうなると「一番強いのは誰だよ!」ということを考えたときに、なかなか答えがでなくなってしまったらしいですね。
…では「一度同じ場所でやればいいんじゃない」ということになった。
主催者の宮尾さんと秋葉原のUDXでやっていたゲーマーズラウンジにて、知り合えたのがキッカケです。そこで初めてTGNというものを知りました。
その頃同じくして、僕は「DEAD OR ALIVE(以下、DOA)」のコミュニティイベントを色々やっていましたが、DOAのコミュニティはすごく小さいのです。それで、なかなか単独でオフラインイベントを持つことが出来ず苦労していました。そこでFPSのコミュニティに混じって・・・間借りさせてもらえないかという話を持ちかけたのですね。
ちなみにそのFPSのみ集まりは、最初の頃は何人くらい居たのですか?
FPSのみのときは大体16〜17人というところですか。そこで、途中からDOAが間借りさせてもらった…と。
それで、間借りさせてもらうようになってからは何人ぐらいになったの?
全体では40人くらいで、DOAはその半分というところかな?
それでは、結構な数が集まったのですね。
ただそのときは、集まってオフライン大会をやるという形式ではなかったのです。
全員集まってからオフラインからオンライン大会に接続するという・・・ちょっと頭の悪いことを(笑)。
オフラインでの大会を知らない子たちに、集まることに意義があるということを見出して貰いたかったのですが…(笑)。
まぁ、遠方の方もオンラインで参加出来るようにということで、そういう形式をとっていた訳です。
結局そういうやり方をしないと、大会できるだけの人数が集められないというのもあったのですけどね(笑)。

それが今のTGN2部の形になる・・・大体半年前くらいの話で、その形式で3回ほど開催しました。
だからDOAの第1回が始まったのが2008年の秋とか・・・それくらいですね。
一方その頃、ソウルキャリバー勢(以下、キャリバー勢)は2008年の夏にですね。場所を借りてゲームの大会と同人誌即売会を同時にやるというイベントをやったのです。僕が主催で。アルカディアにも1ページ載っけて貰ったりしました。
同人誌即売会と、ゲーム大会を同会場で行うという試みは確かに良く見受けられましたね。
それを何故やったかというと、闘劇のタイトルから(ソウルキャリバーが)漏れてしまったのというのと、ソウルキャリバーIVが家庭用のみで、アーケード版がなかったので、「Arcade Edition」が存在する「ソウルキャリバーIII」でいっぺん「締め」をやって、新しい展開に移りたいと思っていました。

ソウルエッジからソウルキャリバーになってアーケードに移ったのが1998年の夏で、ちょうど10周年だったのです。ここでひとつみんなで遊ぶイベントを7月20日に。その次の日に僕がメインで予選つきの全国大会をゲームニュートンで行わせて貰いました。

闘劇魂の付録DVDで15分程お時間を貰って、ドキュメントを作成したりもしましたね。
ソウルキャリバーIVになって、家庭用だけになってしまってからは、公民館を借りて対戦会みたいなモノを月1回程のペースで実施しました。そのときに餅Aさんがちょうどやって来ていて「今度TGNというイベントをやるのだけど、キャリバー勢も一緒にどうですか?」…と。
それでは、元々は別々のイベントから集まって来たということなのですね。
僕らキャリバー勢も、DOA勢もお互いにコミュニティが小さいので、単独でのイベントはなかなかに難しいのですけど、二つくっついたら集客もそれなりにあるからいいよね…という事で。
…Xbox 360繋がりというのもありました。
まぁ一緒にやりませんかと言われた時に、そんなに簡単にいった訳でもないのですが…。
結果として上手く行った形になりましたね。
今では本当に、色々な方に集まって頂けるようになったのですね。
おかげ様で今のところは順調というか…。

100人以上が集まる大規模なオフラインイベントに成長
ゲーセンからキャリバーがなくなってしまって、自分たちの居場所は自分たちで作らないといけないなーという強い動機があったのですね。
そしてDOA勢はDOA勢なりにそういうモチベーションがあって。そしてFPSにもそういうモチベーションがあって。そういう意思が同時発生していたのですよね。今から思えば。

僕らは僕らで、公民館で対戦会を開催したりしたけれども、「単独でやっていて辛いな」という気持ちがあった。TGNには2009年になってから入れさせて貰って、第1回を今年の3月に開催しました。
最初からそうやって「居場所を確保しないとね」と言っていた連中は、アーケードから続けてきてたプレイヤーなんですよ。
ところが2008年の7月にキャリバー4が発売され、オンライン対戦で驚きました。
キャリバーはもともと人口が少ないので、置いてあるゲーセンも少ない。行ったら行ったで、いつも同じヤツしかプレイしてなかったんですね。

だから、オンラインで見知らぬ人と対戦できるのが物凄い新鮮で。「人いるじゃん!」ってそれだけ嬉しいっていうのがあった。喜んだのですが、オンラインで盛り上がっている人たちは、オンラインが彼らのスタートで、オフラインはどうでも良い。ラグとか言ってるけど、オンで勝てないならオフでも一緒でしょ?と。
そこで僕らはどう考えたかというと、彼らをオフの大会に引きずりこんで「よりディープな世界」を味わってもらおうじゃないか、と。
ちょうどUSTREAMとか、JUSTINTVが話題になり、オンラインの大会やオンラインのライブ配信をやり始めた人がいて、オンラインの対戦はすごい盛り上がったんです。では後は(オフに)来いよ!来て欲しいんだけど、でも場所がねーじゃん。
アーケードゲーマーの居場所を作る+オンラインプレイヤーの着地点を作る。
それが目的となりました。
DOAにもやはり、オンラインとオフラインの差みたいなのが存在して、オンラインだけでしか遊ぶところがない人たちのためにも、オフラインでも一緒に遊べる着地点を作りたいねーと。
この点がキャリバー勢と合致して、イベントを進めていく形となりました。
自分からイベントや場所を作れる方は少ないですからね。
オフラインを知らない人がいると「オンが楽しいね、これが最高。」で終わってしまう。
オフラインの楽しみを彼らが見たことないのに、そこで閉ざされてしまったら勿体無い。みんなで盛り上がるのが、大事なことですね。
ちなみに両方の勢力が合さってからの第1回では、全部でどのくらいの方が集まったのですか?
スタッフ込みで言えば100人を超えましたね。
第一回でそれだけ集まったという事は、それだけ同じ想いを抱いていた方が多かった…ということなのでしょうね。
キャリバーはゲーセン文化から、そのまま繋がりましたね。
タイミング的には上手く間に合ったという感じでしょうか。
北陸とか群馬とか…近隣県とは言い難いところから、わんさか来てもらいましたね。
その後は2ヶ月に1回程のペースで開催しています。

明け方まで皆でゲームして、語り合って、騒いで…。
社会人にとっても学生にとっても貴重な場所です。
僕が心配していたのは「継続されるのかどうか」というところですね。第一回というのはみんなギリギリまで溜め込んでいて、バーンって爆発するワケじゃないですか。第二回って大体の場合集客が落ちるのですよ。
イベントを続けていくと、そこで萎えて終わってしまうとダメだな…と。続けていければ「僕たちは今回はお休みしたけれども、次は来てね」と言うことが出来る。
ゲーセンは常にやっているじゃないですか。お店は常に開いていて、来れる時に来てよっていう。そういう感じのイベントにしたいなと思っていました。
TGNに合流する前は、それぞれの勢力の方が、個人で会場を借りて、個人で機材を借りて…。
単独で抱え込むと、幹事さんが背負い込む赤字が大き過ぎて、とても継続出来ない。このままでは、何人も潰れてしまいます。そこで、TGNで合流することで負担を分散し、継続開催の目処が立ちました。
自分の開催したイベントは、結局費用が半分しか回収できず、かなりの赤字でした。
そんなの毎年は出来ません(笑)。
みんなで楽しく遊ぶ、というのはそれが日常でないといけない。そう考えると、とても継続性のないことは出来ないと思います。でっかいお祭りではなくて、生活に密着したイベントをやりたいなと。みんなでゲームしてお酒飲んで…2ヶ月後にまた会おうね…みたいな。
闘劇等の大イベントですと、参加前の心構えとか、そういう気張った部分も出てきますからね。
そういう方向性でやっていくと「EVO(※エヴォリューション、海外の大規模オフラインイベント)」のような感じになっていくのでしょうね。
勿論、TGNはそれをしようとは思っていなくて、とにかくみんなで一緒にゲームすることを楽しもうという、気軽な気持ちで来て貰えるイベントにしています。
また方向性としては「俺らのゲームこんなに面白いんだぜ」って、お互いのゲームコミュニティをアピール出来る場になっていけばいいなと思っています。
コミュニティに属する人たちがどういう人たちで、自分たちのゲームをどう捉えて遊んでいるのかというのをDOAとキャリバーはここ1年でアピールし合ってきたわけです。次回から間借りをする「サムライスピリッツ閃」に関しても、そういうところを色々な人に見てもらいたいし、僕自身も見たいなと感じています。
そうですね。DOAはDOA、キャリバーはキャリバーと解離するのではなくて、お互いにお互いのゲームをやってみて、楽しさを発見するということは出来ますね。
僕が感じていた危機感というのもそこにあって・・・。
基本的にみんな自分が好きなゲームしかやらないじゃないですか。
VF(バーチャファイター)のプレイヤーはVFの大会行くし、VFの有名なプレイヤーも知っているけど他のゲームは知らない。これは鉄拳もその他の格闘ゲームも同じですね。

キャリバーのプレイヤーも基本的にはそうなのですが、そうなると格闘ゲームのパイが小さくなったときに小さいコミュニティからどんどん各個撃破されて、最終的にはみんな無くなってしまうのではないかと思うのです。

…結局最後に残ったのはあのゲームだけだったね、みたいなのは凄く寂しいので、そろそろお互いにパイの取り合いをするのを止めたほうが良いのではないかと…。
パイを取り合っている訳ではないのだけど、結果的にはきっとそうなっているのだよね。
DOA勢と一緒にイベントを始めるようになって…。
キャリバーのプレイヤーはDOAの大会を見るようになったのですが、最弱キャラで決勝まで勝ってるプレイヤーがいたりして、そこで一緒に盛り上がったり。逆にキャリバーの大会もDOAのプレイヤーは確り見てくれていますね。
今回から「サムライスピリッツ閃」のプレイヤーに「俺はこのゲームをみんなにやって欲しいんだ!」という熱い人ががいるので、同じように馴染んでいってくれると嬉しいです。
ひとつ補足させて貰いますね。
TGNは確かに格闘ゲーム好きの集まりなのですけど、大会が終わった後の夜中は色々なゲームを取り扱っています。
先日はバーチャロン、そして先日はみんなでニヤニヤしながらドリームクラブの対戦実況もやりましたね(笑)。
格闘ゲームがメインではあるのですが「色々なゲームで一緒に遊ぼうよ!」という雰囲気になって来ています。
終電が過ぎた辺りだとみんなだんだん疲れてきて…(笑)。
格ゲーから離れて色々なゲームをやってますね。
良い意味で、グダグダになってくるのですね(笑)。
もうお酒飲みながら、適当にゲームしようぜ…という雰囲気を出しつつ、各々が好きなゲームで絡むみたいな。
むしろ終電後がイベントの醍醐味といえるかも知れません(笑)。
今までの傾向を見ていると、参加者の9割方は終電後も居ますね(笑)。
そうそう、ほとんど帰らないね(笑)。

奥さんに怒られるから泣く泣く帰る人、翌日に休日出勤がある…みたいな方でなければ、みんなやる気マンマンです(笑)。
そういう気張りすぎないテンションが伝わっているのか、ホントにお酒だけ飲みに来て、帰る人もいるくらいですね(笑)。
雰囲気的には、大学時代に友達の寮に遊びに行って、夜中から夜明けまで、ずっとゲームをやり続ける・語り合う、みたいな感じですか?(笑)
そうそう、それを100人でやると、今のTGNのようになります(笑)。
お酒飲みに、会場に来てくれる方が居るというのも貴重ですね。そういうのを大事にしていきたいと思っています。
なんだかよく「俺ももう格ゲー卒業だよ、引退だよ」と聞きますけど、そういうのではなくて。
永久にゲームをして、そのまま死んでいくような…そういうライフスタイルの中にゲームがあるのって良いと思うのですよ。
そういうのなんでダメなの?辞めなきゃいけないの?って(笑)。
例えばフィジカルスポーツであれば、年を取ったら体がついていかないという事はあるかもしれないけれど、格闘ゲームは多少腕前や反応は落ちても遊べるには遊べる訳で。囲碁将棋みたいに一生付き合っていけるモノ。メンタルなスポーツとしてゲームはやっていけると思うのですよね。

私たちの世代が高齢を迎える頃には、テレビゲームは囲碁や将棋と変わらない次元になっているかもしれないですよね。そういうところで集まって、ジーサンになってもやっていられるようなら理想ですよね。
囲碁とか将棋は、親の代が子供に伝えることによって段々広がった背景があったそうです。
私達の世代が親になってくれば、そういうことは続いてくるのかな、と。
僕らが30歳を超えてくると、10代や20代で、ゲームセンターを知らない子たちがいっぱい出てくると思うのですね。彼らに「ゲームを一緒にやるの面白いよね」って、どんどん伝えて…それが繋がって帯になって行って欲しいですね。
そのためには僕らが能動的に発信していかないと、そういう文化は作れないのではないかなと思っています。
現在、イベントを支持してくれてる人も沢山いて、また手伝ってくれる人も増えてくるのではないかなという期待もあります。
オンラインはどんどん発達してますが、ゲームセンター的な文化を知らない人が増えてくる。そのためにこういうイベントを残すことが重要かもしれませんね。

本日はインタビューにご協力頂けまして有難う御座いました。

全員

ありがとうございました。

 以上、Tokyo Game Night-闘宴決義運営の方へのインタビューでした。
 運営の方の熱意が非常に強く、インタビュー中においても、その意気込みをヒシヒシと感じました。格闘ゲームをオフラインで遊ぶ楽しさ、そしてゲームという文化を、気さくに参加できるイベントを開催することで守っていく、素敵なイベントです。2ヶ月に1回程度の割合で開催されています。またTGNが開催される機会がありましたら、当サイトのニュースで紹介して参ります。ご興味を持たれた方は、是非足を運んでみて下さい。






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