10月29日、愛知県名古屋市にあるゲームセンター『アーバンスクエア大須店』でおこなわれたBLAZBLUE CONTINUUM SHIFTⅡの大会に今回はお邪魔させていただいた。この大会はただの大会ではなく、チャリティーイベントとしての側面も持っていた。格闘ゲームのチャリティーイベントというと格闘ゲーム団体『TOPANGA』がおこなったTOPANGAチャリティーカップが記憶に新しい。しかし今回のチャリティーは少し趣が違う。TOPANGAチャリティーカップは東日本大震災の被災者全体に向けてだったが、今回の大会は個人へのチャリティー、募金である。この少し変わった大会は何故開催されたのか?その辺りの事情も説明しながら今回の大会のイベントレポートを記していこうと思う。(レポート執筆:わたも)
まずは今回のイベントが開催されるまでの流れを紹介しよう。詳しくは今回の大会の主催者であるまさやん氏の日記に詳細が書かれている、とあるプレイヤーが怪我を負ったことから話ははじまる。
プレイヤー名は「しのはら」。『Fate/unlimited codes』で闘劇2009本戦出場経験をもつプレイヤーである。彼が仕事中にチップソー(建材などを切るための工具である丸鋸の刃)で右手に大けがを負った。怪我の状況としては人差し指切断寸前、中指骨の一部と伸筋健断裂、他の指も何針も縫うほどの傷である。これを治療するための費用がしのはら氏一人では払えない高額になるため、しのはら氏の治療費負担軽減を目的として今回のチャリティー大会が開催された。
確かに命に別状がある怪我かというとそうではない。しかし格闘ゲームプレイヤーにとって、指は命といっても過言ではない。レバーを握る・・・ボタンを押す、格闘ゲームのあらゆる行為で指は使われる。右手が失われるという事は格闘ゲームをやめなければいけないと言われることに等しい。つまり今回の治療次第でしのはら氏の格闘ゲームプレイヤーとしての人生が決まってしまうのだ。そこで今回の大会である。
今回の大会には62人もの参加者が集まった。愛知県からだけではなく様々な場所からプレイヤーが集まった。主催者や参加者の声かけが予想以上の効果をあげた結果ともいえるだろう。大会は2on2のトーナメント形式。大会は一回戦から波乱の幕開けとなった。BLAZBLUE CONTINUUM SHIFTで2010年闘劇優勝を果たしたチーム『超魔王村(2週目)(超ライチ、辻川タオカカ)』(敬称略順不同)がまさかの一回戦敗退となった。またその超魔王村を破った『2弱(シゲヴァルケン、アルハザマ)』もベスト8で敗退すると、『困った時のもへ頼り(もへラグナ、マッピージン)』、岐阜からの遠征勢の『ひめらぐ(はっしーラグナ、ゼロレイチェル)』、実況のうぃすらー氏を擁する『関東勢?(うぃすらータオカカ、ますやまバング)』も同じくベスト8で敗退。31チームの中を勝ち上がってきた4チームは『辻川よっわ(kuboレリウス、ホッピングおじさんヴァルケン)』、『CTやろうぜお前ボールな(自演乙バング、ながくらカルル)』、『静岡(笑)(ヒトトセハザマ、キョータレイチェル)』、『なぁ…シンクロしようや…(さつのタオカカ、naoさん愛してるΛ)』となった。
準決勝第一試合は『辻川よっわ』対『CTやろうぜお前ボールな』。kuboはAQUAPAZZAで闘劇2011本戦に、ホッピングおじさんはBLAZBLUE CONTINUUM SHIFTⅡにおいてドリトスというPNで闘劇2011本戦出場を果たしている。またながくらもBLAZBLUE CONTINUUM SHIFTⅡで闘劇本戦出場しているカルル使い。困った時のもへ頼りを最終戦、最終ラウンドとギリギリの接戦を繰り広げて勝ち上がってきた『辻川よっわ』を、チーム『2弱』を破り勢いにのる『CTやろうぜお前ボールなチーム』がどのような試合を見せるのかが注目となった。先鋒戦はkuboレリウス対ながくらカルルの親子対決。終始カルルがニルヴァーナを盾に戦っていくのをレリウスがイグニスでフォローしつつJBや2A、Bで捕まえにいく展開となった。kuboがデュオ・ヴァイオスをスカしてしまい1Rとられるも、2Rは2Cでしっかり対空をとりラウンドを取り返す。最終ラウンドは序盤からの黄色バーストでkuboがペースを握りにいくがニルヴァーナとカルルに挟まれてからはどうにもならず、最後はリバサデュオ・ヴァイオスを外しての敗北、ながくらカルルの勝利となった。しかしとんだ家族会議である。
大将戦はホッピングおじさんヴァルケン対自演乙バング。あっさりと1ラウンドとられ勝利は絶望的かと思ったが、2Rは狼からの怒涛の攻めを見せ、次のラウンドも狼JAからゲージが50%になったところをケーニッヒ・フルークで締め自演乙バングから勝利をもぎ取った。最終戦は勝者同士、つまり、ながくらカルル対ホッピングおじさんヴァルケンとなった。この戦いも最終ラウンドまでもつれこんだがホッピングおじさんがながくらのジャンプ逃げをケーニッヒ・ヴォルフでしっかりと捕えて勝利。
決勝進出は『辻川よっわ』チームとなった。
準決勝第二試合は『静岡(笑)』チーム対『なぁ…シンクロしようや…』チーム。『なぁ…シンクロしようや…』チームは関東、立川からの遠征勢、さらににnaoさん愛してるはヨシキというPNで闘劇本戦出場をしているΛ使い。『静岡(笑)』がどう立ち向かうのかが気になる先鋒戦はキョータレイチェル対さつのタオカカ。いきなりキョータが3風J2Cをヒットさせ画面端に追いつめたかのように見えたが、さつのは冷静にJ逃げで脱出。その後はさつのペースとなり空投げからのコンボで2ラウンドともさつのが勝利し次にバトンを渡す。
大将戦はnaoさん愛してる(ヨシキ)Λ対ヒトトセハザマ。2CCHからのコンボを投げでフォローして1ラウンド目をとったヒトトセであったが、ヨシキも丁寧にウロボロスの硬直や空中復帰後などにDを刺していき、最後もJ6Dで着地しようとしたヒトトセにJ2Dから勝負を決め、『なぁ…シンクロしようや…』チームが決勝進出を決めた。
ついに決勝戦、『辻川よっわ』対『なぁ…シンクロしようや…』。遠征勢を地元が迎え撃つ形となった。先鋒はkubo対ヨシキ。イグニスを召喚していきたいkuboだがヨシキは召喚のスキにDを当て、kuboに有利な状況を作らせない。なんと最後の最後はΛのアストラルヒート滅びの剣(暗転後回避不可の投げ技)がヒット、会場は笑いに包まれヨシキの勝利。『なぁ…シンクロしようや…』優勝へのリーチがかかった。大将戦ホッピングおじさん対さつのタオカカ。実は今回の大会で負けなしのさつのと準決勝までは余り調子がいいとはいえなかったホッピングおじさん、真逆の二人の対決。しかし戦いはホッピングおじさん優勢。空中に飛べばタオカカのD系統に最終ラウンドはパーフェクトで勝利し、最終戦へと望みを託す。
最終戦はホッピングおじさん対ヨシキΛとなった。序盤はコンボミスでグダグダになったところをJCでお茶を濁したホッピングおじさんだったが、しかし2ラウンドはスパイクチェイサーを避けようとしてヒンメルが漏れてしまいヨシキΛが取り返す。そして決勝戦最終ラウンド。狼状態で前歩き接近を試みたホッピングおじさんだったが、そこはよく見ていたヨシキ。キャバリエを当て体力差を作り出す。狼で地上をうろついていたところをDD>レガシーエッジ>
シックルの後にスパイクが当たり終了。ヨシキΛが最終戦を勝利で飾り、『なぁ…シンクロしようや…』の優勝となった。
見事優勝した『なぁ…シンクロしようや…』チームに賞品が贈呈された後、募金金額の集計になった。募金の方は当日までに直接募金箱に募金された分と事前に銀行口座をつくり、振り込んでもらったものも含めてなんと『16万9488円』となった。これは主催者達も予想外だったようで、ありがとうございますと何度も感謝の言葉を述べていた。これらのお金はの行方は今後まさやん氏によってネットにアップされるということなので気になる方はチェックしていただきたい。銀行に振り込んだ人達の名前欄には『関東勢一同』というものもあったり、名前は伏せるが有名プレイヤーからの振り込みもあったり色々な場所からの募金があったようだ。
主催のまさやん氏にこれについて話を聞くと、「参加者はもちろん口座に振り込んでくれた人もたくさんいて嬉しい。本当にしのはらさんゲームやっててよかった。」と喜びを語ってくれた。
『なぁ…シンクロしようや…』チームにコメントをいただいた。
「しのはらさんは闘劇2011の際に立川に来てくれたので今回チャリティー大会に来た。1.10にバージョンアップしてから初めての大きい大会だったので結果をだせて嬉しい。(ヨシキ)全体的には仕事はできた。ただ最後負けてしまったのはくやしい。(さつの)」
『辻川よっわ』にもコメントをいただいた。
「よくこんなに集まってくれたなと思います、募金も集まった。しのはらさんとは長い付き合い、しのはらさんには真人間になってもらいたい(笑)。(kubo)」
「やり込みが足りなかった、稼働初期なのでみんな仕上がってなかった。ヴァルケンハインは勝てるキャラなので今後も使っていきたい。(ホッピングおじさん)」
『なぁ…シンクロしようや…』が普段プレイしている『ゲームオスロー立川第一店』 では毎週金曜日にブレイブルーのランキングバトルを開催している他、月に一度、初級・中級者大会も開催しているようなので近くにお住みの方は一度足を運んでみてはいかがだろうか?また今回の大会はニコニコ生放送の『kuboの格ゲー色々』というコミュニティで配信されていたが、これはkubo氏がオーナーで今後も色々な格闘ゲームの大会やプレイを配信していくとのことなので参加してみてはどうだろうか?
今回のチャリティ大会では格闘ゲームのコミュニティ、その一つの形を見せてもらった気がする。一人のプレイヤーのためにみんなが協力しあったおかげで、大会への多数の参加者、また募金が集まったのではないか?しのはら氏には今回の大会を主催したまさやん氏や開催するために協力してくれた人達、大会に参加してくれた人達、募金をしてくれた日本各地の格闘ゲームプレイヤー……彼らのためにも必ず怪我を治してもらい、元気にまたゲームセンターで遊ぶ姿を見せてほしい、そう願ってやまない。
訪問・レポート執筆・写真撮影:わたも