2013年4月27日、GWも始まり人で賑わう京都は四条にてKGA2013が開催された。延べ200人以上の人を集めたこの大会は家庭用ゲームのオフラインイベントとして、ULTIMATEMARVELVS.CAPCOM3(以下UMvC3)の大会として日本最大規模の大会となり最高の盛り上がりを見せた。今回はそんなKGA2013のイベントレポートをお届けする。
(取材・撮影わたも)
◆KGA2013とは?
KGA2013という大会名は「KVO」、「GODSGARDEN」、「a-cho」それぞれの頭文字を繋げたものだ。KVOは格闘ゲームプレイヤーであるキャメイ氏が個人で主催する今回で3回目となる格闘ゲームイベントだ。今までもMATEMARVELVS.CAPCOM3シリーズを筆頭に様々な格闘ゲームのイベントを開催し、徐々にイベント規模を拡大してきている。そんなKVOが格闘ゲームプレイヤーなら知らない人はいないインターネット番組「顔TV」を配信、また色々な格闘ゲームイベントを開催している団体GODSGARDEN、そして関西が誇る京都の老舗ゲームセンターneo amusement space a-choと一緒に開催した格闘ゲーム大会、それがKGA2013だ。GODSGARDENは配信をa-choは会場の提供等を行い、それぞれが協力してここまでの規模の大会を開催できることになった。KGAの特徴として「全国のプレイヤー達と連携し各地でオフライン大会を開催した」ということが挙げられる。予選は全国7箇所でのオフライン大会とインターネットを利用したオンライン大会が開催されそこから16名がKGA本選に出場となる。予選が開催された場所を見てみると東京、大阪は勿論のこと名古屋、新潟、石川、広島、福岡等本州と九州をほぼカバーしており全国大会レベルといっては過言ではない規模になっている。
今大会は1位から4位まで入賞したプレイヤーに毎年夏アメリカのラスベガスで開催される世界最大級の格闘ゲームイベント「Evolution」において適用されるシードポイントが与えられる。シードポイントはその名の通りシード優先権が与えられるポイントで持っていれば、いきなり強敵とぶつかる可能性が低くなるものである。EVOで上位を狙うプレイヤーには喉から手が出るほど欲しくなるものであることは間違いない。
●代表挨拶
◆白熱の当日予選、勝ち上がったのは?
大会当日、会場のa-choにはステージが設けられ存在感をアピールしていた。さらにステージを囲むように20台弱のPS3とXBOX360が設置され、大会の規模の大きさを改めて認識させられることととなった。朝早くから会場には大会前の調整か大量のプレイヤーが訪れエントリー待ちのため長い行列を作っていた。
大会ののスケジュールとしてはまず前述したEVOシードポイントが賞品となるシングルトーナメントが行われ、その後5on5が行われることとなっていた。まずはシングルトーナメント当日予選が開催された。ベスト8が本選トーナメントに勝ち上がりとなる。
参加者は172名、様々なゲームタイトルで名を馳せたプレイヤーが参戦を果たしていた。まずはGODSGARDENでは「顔TV」、TOPANGAでは「勝ちたがりTV」などでお馴染みギルティ、SSF4などのタイトルで結果を残している「かずのこ」選手、プロとしても活躍を見せる「RF」選手、メルブラなどで有名な「GO1」選手、ブレイブルーやギルティで名を馳せる「辻川」選手等、見渡せば強者揃いな当日予選となった。
しかし、当日予選の結果だけを見ればUMvC3をメインにしっかりとやり込んできたプレイヤーが結果を残すこととなった。先鋒飛竜に初期から注目し、やり混んできた「じゅんや」選手、キャプテンアメリカ、ソーといった所謂アベンジャーズチームをメインにし大会に殴り込みをかけた「niceboy」選手、前述の「RF」選手、ゼロという新たな手札を用意して会場を驚かせた「ごっつ」選手、パッド使いでありDr.ストレンジの研究に多大な功績をもたらしている「てんぼす」選手、地方予選最多参加数、しかしここまで本選出場を決められず苦しい戦いを強いられてきた「まぶしん」選手が当日予選でついに本選出場を決めることとなった。世界でも少ないクリスをメインで使用するプレイヤー「たぬきっく」選手が予選決勝戦で「へれ」選手に勝利して本選へ、石川予選決勝で惜しくも「超」選手に敗れ当日に意気込みを見せたゼロ使い「ぽてんひっと」選手が同じく進出。以上の8名が本選への切符を手に入れた。
◆シードポイントを手に入れるのは、優勝の栄冠を手に入れたのは・・・緊迫の本選!
本選は前述の8人に加え、地方予選を勝ち上がった16名、さらに一般の投票により3名の選手、特別招待として3名、最後に本選出場者の投票による「当日投票枠」が2名設けられ計32名のトーナメントとなった。一般投票枠で選ばれたのはこんてんぷす選手、OGTY選手、砂蛇選手の3名だ。後ろの2名は以前からおなじみだがこんてんぷす選手は今回の大会から急浮上してきたプレイヤーだ。FPSゲームもプレイしているとのことでそちらの層のプレイヤーが投票に協力した形となり今回の結果となった。本人の実力も相当であり、機動戦士ガンダムSEED 連合vs.Z.A.F.T.で全国大会出場の経験もあるとのことで、ある程度場馴れしており期待も高まった。
特別招待枠に選ばれたふり~だ選手、クソル選手、Nemo選手は去年のクリスマス前に京都で行われた3on大会で優勝を果たしたチームの選手である。新しいチーム(ゼロドゥームアマテラス)に変更して初めての大きな大会となったふり~だ選手、現在最もEVOでの活躍を期待されているNemo選手、メインチームを触っていないが勝てるところを見せたいと語ったクソル選手、3人の活躍にも注目となった。
当日投票枠は接戦となり、決まったのはvairos選手、へれ選手となった。vairos選手はハガー、フランク、スクラルという少し特殊なチームを使う関西若手の雄である。へれ選手は基本ダンテを軸としたチームを使うこちらも関西のプレイヤー。二人とも予選で惜しくも敗れたプレイヤーであるが当日投票枠により本選出場となった。
地方予選出場者の中にも期待の選手が多かった。オンライン予選から出場を決めたモリガン使い、ギルティなどで有名なひろしG選手、PS3ではランキング上位に名を連ねるイケメンリア充選手、関東の強豪が多かったFRB予選で見事優勝を果たしたシオ選手。この3選手は新しく台頭してきたプレイヤーということもあり注目となった。
本選は1回戦からえむまき選手対バンババン選手や選手対ふり~だ選手対Nemo選手といった好カードが目白押しとなった。
激闘の中ベスト8まで勝ちがってきたのは世界で見ても少ないレッドアリーマーの熟練者であるウダテラス選手、まぶしん選手、KVOやEVO様々なUMvC3の大会で活躍を見せる超選手、niceboy選手、Nemo選手、ABEGEN選手、自分が主催する大会で結果を残してきているKGA主催のキャメイ選手、ひろしG選手以上がベスト8進出となった。次の戦いを勝利したプレイヤーがベスト4進出となりシードポイント獲得となる。まず最初にシードポイントを獲得したのはまぶしん選手に勝利したウダテラス選手だ。本選前でのインタビューでは少しでもアマテラスとレッドアリーマーの良さを見せられればと答えたウダテラス選手だが確かに両キャラの良さを見せつけての勝利となった。次に勝ちがってきたのは超選手、niceboy選手を降しての納得のベスト4入りを果たした。Nemo選手とABEGEN選手の試合はNemo選手がここぞという所で勝負強いABEGEN選手と一進一退の攻防を繰り広げるも最後はキッチリとNemo選手が勝利を掴み取り、ベスト4進出を決めた。ベスト8最後の試合はキャメイ選手とひろしG選手。堅実にシューティングで固めていたひろしG選手だったがキャメイ選手のぶっこみが勝った形となったかキャメイ選手がなんと最後の枠を掴み取った。
ベスト4が出揃い準決勝が行われた。ウダテラス選手と超選手の戦いはウダテラス選手が踏ん張り切れず超選手が勝利。キャメイ選手対Nemo選手は終始キャメイ選手が荒らしに行こうとする展開をNemo選手が抑えに行く光景が多く見えた。結果的にはNemo選手が安定した動きを見せて勝利となった。
遂に2月から始まる長き激闘に終止符が打たれることとなった。決勝のカードは超対Nemo、アルカプ最強談義が始まると名前が必ず挙がる二人であり大会前の優勝予想でも多くが予想した決勝カードであるこの試合、お互い試合前に手を暖め集中力を増していく様子が美しくも見えた。1戦目決勝前のコメントで勢いがあると語ったNemo選手が序盤攻めこのまま行くかと思われたがそこは超選手のドゥームが阻んだ。しっかりとHからの拾いを決めノヴァを落とすとストレンジを。そしてスペンサーもファクターからのファクター返しで反撃を決め、超選手が初戦を勝ち取る。2戦目もスペンサー一人まで追い詰められたNemo選手だったがファクターからの中段崩しを皮切りにドゥームも落とし切り2戦目を勝利する。3戦目Nemo選手がノヴァの小パン対空からマグニを落とす。ドゥームのヴァリコンをガードしガーキャンからストレンジのヴィシャンティを差し込もうとしたのが間に合わなかったことが勝負の分かれ目となった。その後ストレンジをバージルに倒され体力僅かとなったスペンサーもドゥームのフォトンアレイに削り倒され超選手がマッチポイントとなる。そして4戦目Nemo選手がドゥーム、マグニを順調に落とす、方や超選手はマグニが落とされる前にファクターを使ってしまい大幅にファクター時間を消費した状態でバージルが出てきてしまう。このまま終わりかと思われたがここで超選手のバージル力が最大限に発揮される。ノヴァがJSで着地した硬直に小パンを入れノヴァを落とすとラウンドトリップから表裏択の後小パンで崩しストレンジをスペンサーにスティンガーを刺し、最後はしっかりとスペンサーのランサーをガード。確定反撃の投げを決め3対1超選手が優勝を決めた。優勝後のマイクパフォーマンスでは泣きそうになりながらも「結果を残せて嬉しかった」と語り観客からの拍手に応えた。
こうして大興奮の本選は優勝超選手、準優勝Nemo選手、ベスト4ウダテラス選手、キャメイ選手となり幕を閉じた。
◆超選手へのインタビュー
本選終了後優勝の興奮冷めきらない超選手へインタビューを行った。その様子をお届けする。(インタビュアー:わたも)
わたも:優勝おめでとうございます。
超選手:ありがとうございます。
わたも:優勝の感想をどうぞ。
超選手:嬉しいとしか言いようがないです。僕の出せる(力の)全てが出たという感じです。
わたも:かなりお疲れのようですが、やはり疲れましたか?
超選手:そうですね。僕はミスをした時、冷静になるのに時間がかかるんです。中盤で先鋒戦負けてしまうことが多かったんですが先鋒のイメージを引きずってしまって……ドゥームを動かしている時も「あの時こうすれば」と考えてしまうことも多かったんです。それが精神的にきて、息切れも起こってしまったという感じです。
わたも:大会で苦しかった試合は?
超選手:2回戦のたぬきっくさんです。クリスが苦手なのとたぬきっくさんと相性が悪いというのもあって……運良く勝てました。
わたも:決勝戦についてお聞きします。Nemo選手とは大会前に東京で対戦した経験があるということでしたがそういった経験は生きましたか。
超選手:そうですね。どういったテクニックを使って僕の防御を崩してくるかということをある程度予習できたので。立ち回りは上手くいかなかったんですが、防御の方向性を決めておけたんです。それでドゥームが出現攻めであっさりやられなかったというのが大きかったですね。
わたも:アメリカに行くプレイヤーにメッセージがあれば。
超選手:EVOまであと3カ月あります。日本人にもまだまだ伸び白があると思うのでカツカツに詰めてもらって出来る限りのプレイを向こうで見せてほしいと思います。
わたも:なるほど、ありがとうございました。
超選手:ありがとうございました。
◆KGAは終わらない!5onトーナメントとランダム3onトーナメント!
シングルトーナメント終了後は5onトーナメントが開催され200名近くのプレイヤーが参加した。5onでは仲の良い友達とチームを組んだり、スクラル5やナルホド5といったコンセプトチーム、様々なチームが活躍を果たした。特に人気だったのはナルホド5で本選出場者のG.X選手を筆頭に全員がスーツ姿で参戦。ナルホドと同じポーズをとっての撮影会が開催されるほどの人気となった。そんな中勝ち上がってきたのはタケタニ/MF/JEO/へれ/横浜モードックチーム、エムジマ/しまだ/GO1/とみー/まさおといったメルブラやパッツァといった他ゲーチーム、ふり~だ/かずのこ/Nemo/なるお/伊達のGODSチーム、そしてまぶしん/ひろしG/クロス/バンババン/イケメンリア充の4チーム。準決勝でエムジマ~チームがしまだ選手の活躍によりタケタニ~チームに食らいつくも敗北。GODSチームも名古屋のゼロ使い、クロス選手の活躍に苦戦し準決勝で敗退となった。決勝はタケタニ~チームとまぶしん~チームとなった。遅い時間にも関わらず熱戦を繰り広げたが、まぶしん~チームはイケメンリア充選手が帰りの都合で棄権した分戦力を欠いたか……惜しくも準優勝となった。
こうして5onが終了しKGAは閉幕した。が、しかし次の日、大阪で新たな闘いが繰り広げられた。大阪日本橋にある動画配信スタジオ「ウェブスタ!」はフリースペースで使用できるスタジオだ。金曜日、土曜日、祝日は夜中から明け方でも使用可能で格闘ゲームの対戦会にもよく使われる人気スポットだ。そのウェブスタでKGAの次の日後夜祭という形でランダム3on大会が開催された。KGAに参加したプレイヤーも相当数参加し大いに盛り上がった。60人以上が参加したこの大会は決勝戦、ウダテラス、ABEGEN、リョセフというレッドアリーマー使いを二人擁するチームとへれ、えむまき、けい選手が激突。ウダテラス~チームが勝利し終了した。後夜祭はKGA本選とは違い緊迫したムードもなくランダム大会の魅力である知らない人と楽しく大会を盛り上がることができており、とても和やかなムードで進行し終わりを迎えた。
そしてついにUMvC3プレイヤーにとっては楽しすぎる2日間の日程が終了したのであった。
◆遂にやってくる、EVO!夏以降のUMvC3の動向は?
7月にはUMvC3プレイヤー待望のEVOが開催される。今年は日本人選手が多くエントリーを表明している。やはり一番の注目選手はNemo選手になるだろう。シードポイントを手に入れていることもあり活躍が期待される。EVOに向けてUMvC3は更なる盛り上がりを見せることになるだろう。
しかしそこで心配になるのがEVOが終了した後のことだ。特に今の所大きなイベントが予定されているわけでもなく、このままではという心配もある。KGA主催のキャメイ氏が色々考えている……という噂もあるがどうなっていくか。それはUMvC3プレイヤーの双肩にかかっている、これからもプレイヤーがワクワクするようなイベントを開催されるように願ってやまない。
◆取材協力
KGA:http://kvo2k.com/
GODSGARDEN:http://godsgarden.jp/
a-cho:http://www.a-cho.com/
ウェブスタ:http://web-sta.com/